2012年6月22日金曜日

チタチタ喫茶神説

チタチタ喫茶の朝は早い。
常連客がまだ布団の中でちゅんちゅん鳴いてる午前8時、チタチタ喫茶は開店する。
すると店主と同時に常連客も入ってくる。ことがある。わりとしょっちゅうある。らしい。

そしてモーニングである。
これはAである。Bにはこれにスクランブルエッグがつく。
スクランブルの意味は「攪乱」。まさにかき回されててんてこ舞いの朝である。


 そしてその間にもブレンド珈琲を淹れる手を休めてはならない。
 無言で席に座る常連客はまずブレンドと考えてよい。たぶん。


そしてスクランブルロケンロー。
ランチという名の戦場がはじまる。
まずはメキシカンチキン。これがなかなか手間がかかる。
仕込みにも手間がかかるがチキンを解凍してトマトとチーズをのせ、
その間にポークビッツを炒めつつ
横目でポテトを睨みなながら
サラダのドレッシングかけ忘れにも注意しなければならない。

そして時に集団の客がバラバラに注文をすることもある。
ひとりはメキチキ。ひとりはハンバーグ。ひとりはハヤシライス、といった風に。
このハンバーグ。これがまた手間暇かかっている。
ベーコンが入っていることがミソである。噛みごたえのある食感も持ち味である。
そしてスープを温め直しながらごはんを型に詰め、横目でおろし大根のせ忘れのチェックも、する。

そしてハヤシライス。
生クリームがかかっている。
なぜカレーライスではないのか。
カレーライスはどこの家でも美味しく作れるから、
あえて店で出すほどのことはない、というのが店主のポリシーなのである。
マッシュルーム、嫌いな人もいるかもしれないが、これがうまい。


そしてランチの後は、セットのドリンクをすすりつつ、
デザートにチーズケーキなんか頼んじゃうのもいいだろう。

豊かなOL的午後である。
クリームブリュレもあるのである。

さらにランチが終わった後でも、フードは休みなしである。
スパゲッティーもある。ナポリタンは具だくさんでうまい。


カルボナーラは手が離せない。三歳以下の幼児のような存在である。
注文が入ると店主は、ムッとすることなく、カルボナーラと仲睦まじくダンスを踊る。つきっきりで。


そしてスープセットなるものもある。季節によって中味がかわる。
しかしいったい、これだけのものを、いつ作っているのであろうか。

もちろんカフェオレやトーストなどもある。美味しいよ。


ココアを頼んだり、


紅茶を頼むのもよいだろう。
コーヒー嫌いな人とは仲良くなれる気がせえへんわぁとか言われても、
粘り強く紅茶を頼むのもよいだろう。
でもわたしはたまに紅茶が飲みたいのに珈琲を頼んでしまう。ぐぅ。


シフォーンケーキも、
あるでよ。


ここまでくると、チタチタ喫茶が神的な存在であることがわかっていただけるだろう。
これらをひとりの人間が作っているということを、みなさんは信じられるだろうか。
たまに寝坊するくらい、むしろ人間味があってよいと考えなくてはならない。
近所のお母さんが寝る時間まで、仕込みをする店主の姿も目撃されている。


さて、満腹になって帰る際には持ち帰りのケーキである。

リボンを集めると、いいことがあるよ。


そんなこんなで、チタチタ喫茶の夜は更けてゆくのである。


そしてまた日は昇り、スクランブルな朝は始まる。